ばねに関する専門用語を分かりやすく解説しております。皆様の業務にご活用ください。
あ行
圧縮コイルばね
主として、圧縮荷重を受けるコイルばね。
圧縮ばね
軸方向に圧縮荷重を負荷したとき、それに抵抗する力を生じるばね。狭義には、圧縮コイルばねを指す。※ JIS B 2704-1およびJIS B 2704-2参照。
異形コイルばね
コイルの形状によるばねの総称で、円筒、円すい、鼓形およびたる形以外の形のコイルばね。
板ばね
板状の材料を用いたばねの総称。狭義には、ばね板で構成したばねを指す。 ※ JIS D 0111参照。
薄板ばね
ばねの材料の種類による名称で、薄い板状の材料を用いた各種形状のばね。
渦巻ばね
平面内で渦巻形をしているばね。
円すいコイルばね
円すい形のコイルばね。
円筒コイルばね
円筒形のコイルばね。※ 2個組み合わせたものを二重コイルばね、3個組み合わせたものを三重コイルばねなどという。
応力-ひずみ線図
引張試験の全過程における試験片平行部の公称応力と伸びとの関係を表す曲線。 ※ JIS G 0202参照。
オープンエンド
圧縮コイルばね端部形状の一種で、端末がコイル軸方向に隣のコイルと隙間がある形状。
か行
ガータースプリング
密着巻のコイルばねの両端を連結し、環状にして締付けに用いるばね。
角ばね
異形断面ばねの一種で、材料の断面形状が長方形又は正方形のコイルばね。
角フック
引張コイルばねのフックの一種で、角形のフック。
荷重-たわみ曲線
ばね特性を表す、荷重とたわみとの関係を表した曲線。
逆丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、丸フックを逆にねじった形のフック。
金属ばね
ばねの材料の種類による名称で、金属材料を用いたばね。
組合せばね
所要の特性を得るために、幾つかのばねを組み合わせたばね。※組合せ方法には、直列法又は並列法がある。2個のばねを組み合わせたものは、直列2連ばね又は並列2連ばねという。
クローズドエンド
圧縮コイルばね端部形状の一種で、端末がコイル軸方向に隣のコイルと接している形状。
研削端面
圧縮コイルばねの端面研削した面。
コイリング
コイルの加工工程をいい,線又は棒に指定の曲率曲げおよび指定のねじり率のねじりを与え,コイル状に成形する加工。
コイル外径
コイルばねの外径。
コイル端末
コイルばねの両端部分。
コイル内径
コイルばねの内径。
コイルばね
線、棒状又は板状の材料をら(螺)線形状に成形したばねの総称。 ※ 圧縮コイルばね(JIS B 2704-1、JIS B 2704-2参照)、引張コイルばね(JIS B 2704-1およびJIS B 2704-3参照)、ねじりコイルばね(JIS B 2709-1およびJIS B 2709-2参照)など。
コイルばねの展開長さ
コイルばねの材料の中心線を、平面に展開したときの長さ。
コイル平均径
コイルばねの計算式に用いる、コイル内径と外径との平均値。
固有振動数
振動系の自由振動の振動数、又はばね単体が自由振動するときの振動数。
さ行
座
ばねを据える部位、相手部品などの総称。
最大応力
ばねに生じる最大の応力。
最大荷重
ばねに加わる最大の荷重。
座巻
圧縮コイルばねの端部で、見掛け上ばねとして作用しない部分。
皿ばね
中心に孔の開いた円板を円すい状に加工した、圧縮方向にばね作用をする、底のない皿形のばね。 ※ JIS B 2706参照。
皿ばね座金
底がない皿状のばね座金。 ※ JIS B 1251参照。
C形穴用同心止め輪
円筒穴内部に環状の溝をもつ穴の溝部にはめて、穴挿入部品の円筒方向の移動を防ぐ円環状のばねで、内径の中心位置と外径の中心位置とが同一の止め輪。※ JIS B 2804参照。
C形穴用偏心止め輪
円筒穴内部に環状の溝をもつ穴の溝部にはめて、穴挿入部品の円筒方向の移動を防ぐ円環状のばねで、内径の中心位置と外径の中心位置とが異なる止め輪。※ JIS B 2804参照。
C形軸用同心止め輪
環状の溝をもつ軸の溝部にはめて、軸挿入部品の軸方向の移動を防ぐ円環状のばねで、内径の中心位置と外径の中心位置とが同一の止め輪。※ JIS B 2804参照。
C形軸用偏心止め輪
環状の溝をもつ軸の溝部にはめて、軸挿入部品の軸方向の移動を防ぐ円環状のばねで、内径の中心位置と外径の中心位置とが異なる止め輪。※ JIS B 2804参照。
ジグザグばね
ジグザグ形のばね。
指定荷重
使用目的から指定するばね荷重。
絞り丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、端末が絞り込まれたコイル部に成形した丸形のフック。
自由角度
無荷重時のねじりコイルばねの、コイル両端部の相対角度。
修正応力
コイルばねなどの材料断面に生じる応力で、単純なねじり応力に直接せん断力、曲りばり効果などを考慮した、応力修正係数を乗じた応力値。
自由長さ
無荷重時のコイルばねの長さ。ただし、圧縮コイルばねの場合は、自由高さともいう。
樹脂ばね
ばねの材料の種類による名称で、合成樹脂材料を用いたばね。
初張力
無荷重時にコイル間が密着している引張コイルばねの、コイル間を密着する方向に作用している力。
ショットピーニング
ばねの表面層に球形に近い硬質粒子を高速度で打ち当てることによって,疲労強度および耐応力腐食割れ性の向上を図る冷間加工法。表面に圧縮残留応力を与え,その表面を加工硬化させる。
スナップピン
軸の径方向の孔に差し込み、軸の相対移動を防ぐピン。
スナップリテーナ
軸の溝に差し込み、軸の相対移動を防ぐリテーナ。
スプリングバック
材料に力又はモーメントを加えて塑性域まで変形させた後除荷するときに,材料のもつ弾性のために原形に戻ろうとする現象。
スプリングピン
弾性がある板を円筒状に丸め、その半径方向のばね作用を利用し、穴に打ち込んで隣接部品を連接するピン。 ※ JIS B 2808参照。
静的荷重
時間的に、ほぼ変動しない荷重。
接触形ぜんまい
材料どうしが互いに接触しているぜんまい。
セッチング
ばねに,あらかじめ使用される最大値を超える荷重又はトルクを加えて,ある程度の永久変形を生じさせ,ばねの弾性限を高めて耐へたり性および耐久性を向上させる加工。
セッチング荷重
ばねにセッチングを施すとき、ばねに加える荷重。
セラミックばね
ばねの材料の種類による名称で、セラミックスを用いたばね。
線間隙間
コイルばねの中心線を含む断面で、互いに隣り合うコイルの中心線に平行な材料断面間の隙間。
線細工ばね
ばねの材料の種類による名称で、線状の材料を用いた各種形状のばね。
全たわみ
無荷重時から最大荷重時までのばねのたわみ。圧縮コイルばねの場合は、自由長さと密着長さとの差をいう。
線ばね
ばねの材料の種類による名称で、線状の材料を用いたコイルばね。
ぜんまい
薄板状の材料を用いた渦巻ばね。
総巻数
コイルばねのコイルの端から端までの巻数。
側面丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、コイル外周部からコイル軸線方向に成形した丸形のフック。
た行
竹の子ばね
長方形断面の材料の長辺がコイル中心線に平行な円すいコイルばね。
縦弾性係数
弾性限度内における垂直応力と垂直ひずみとの比。
縦横比
コイルばねの自由長さとコイル平均径との比。
たる形コイルばね
たる形のコイルばね。
たわみ
ばねに荷重、モーメントなどを加えた場合に発生する変位又は回転角。圧縮コイルばねのときは、ばね両端の相対変位をいう。重ね板ばねのときは、両目玉を結んだ線に対するセンタボルト位置からの垂線の距離の変化をいう。トーションバーのときは、ばねの両端の回転角をいう。ぜんまいのときは、巻回数をいう。
タンジェントテールエンド
圧縮コイルばね端部形状の一種で、端末がコイル接線方向に伸ばされた形状。
端面研削
主として,圧縮コイルばねの端面を研削する加工。 注記 ばねの両端を端面研削する場合を,両端研削という。
長円コイルばね
異形コイルばねの一種で、コイル横断面が長円又はこれと類似の形状のコイルばね。
鼓形コイルばね
中央がくびれた鼓形又は砂時計形のコイルばね。
低温焼なまし
内部応力の除去又は材料の弾性限,耐力,疲労強度などの諸特性の改善および形状の安定化を目的として行う低温加熱処理。
定荷重ぜんまい
たわみが変化しても、荷重又はトルクがほとんど変化しない密着巻のぜんまい。
定荷重ばね
たわみが変化しても、荷重又はトルクがほとんど変化しないばね。
動的荷重
繰り返し変動する繰返し荷重、大きさと向きが変わる交番荷重など、時間的に変動する荷重。
取付長さ
取付時のばねの長さ。 ※ 取付高さともいう。
な行
斜め丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、コイル外周部から斜めに成形したフック。
波形座金
円環状の薄板に波形を付けたばね座金。
波形ばね座金
線を巻いて、波形に成形したばね座金。※ JIS B 1251参照。
二重フック
引張コイルばねの丸フックの一種で、ばね端末のコイル二巻をコイル中心軸線上に、その方向へ向けたフック。
ねじ込みフック
引張コイルばねのフックの一種で、ばね端末のコイル部にボルトなどをねじ込んで固定したフック。
ねじ込みフックプレート
ねじ込みフックの一種で、ばね端末のコイル部にプレートをねじ込んだフック。
ねじりコイルばね
主として、ねじりモーメントを受けるコイルばね。
ねじりコイルばね腕部
ねじりコイルばねの巻端の部分。
ねじりばね
長手方向の軸まわりのねじりモーメントに抵抗する力を生じるばね。狭義には、ねじりコイルばねを指す。※ JIS B 2709-1およびJIS B 2709-2参照。
ねじりモーメント
ねじりコイルばね、トーションバーなどに外力を加えたときに、軸まわりに発生するモーメント。
熱間成形ばね
ばねの成形方法による名称で、熱間で成形するばね。
は行
ばね
たわみを与えたときにエネルギーを蓄積し、それを解除したとき、内部に蓄積されたエネルギーを戻すように設計した機械要素。
ばね荷重
ばねに加わる荷重、又はばねから生じる荷重。
ばね指数
コイル平均径と材料直径との比。材料が異形断面の場合は、コイル平均径と材料のコイル径方向の幅との比。
ばね定数
ばねに単位変形量(たわみ又はたわみ角)を与えるのに必要な力又はモーメント。 ※ 一般には、静的荷重に対する静ばね定数のことをいう。
ばね特性
ばねに加わる荷重と、それによって生じるばねのたわみとの関係。
ばり取り
材料を切断および切削したときに生じた,ばりおよびまくれを取り除く処理。
バレル研磨
ばねを研磨材などと一緒に容器に入れて回転又は振動させることによって、ばり、スケールなどを除去する加工。ばねの表面を清浄にする効果もある。
半丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、半円形のフック。
非金属ばね
ばねの材料の種類による名称で、非金属材料を用いたばね。
ひげぜんまい
計器用などに使用する、小形で精密な非接触形ぜんまい。
ひずみ
力によって生じる形および体積の変化率。 ※ 引張ひずみ、圧縮ひずみおよびせん断ひずみがある。
非接触形ぜんまい
材料どうしが互いに接触していないぜんまい。
左巻
左ねじと同じようなコイルばねの、コイルの巻方向。
ピッグテールエンド
圧縮コイルばね端部形状の一種で、端末がコイル径方向内側に巻き込まれた形状。
ピッチ
コイルばねの中心線を含む断面で、互いに隣り合うコイルの中心線に平行な材料断面の中心間距離。
ピッチ角
コイルばねの材料の中心線がばねの中心線に直角な平面となす角。
引張コイルばね
主として、引張荷重を受けるコイルばね。
引張コイルのばねの長さ
引張コイルばねの、フックの内側間の長さ。
引張ばね
軸方向に引張荷重を負荷したとき、それに抵抗する力を生じるばね。狭義には、引張コイルばねを指す。※ JIS B 2704-1およびJIS B 2704-3参照。
非鉄金属ばね
ばねの材料の種類による名称で、非鉄金属材料を用いたばね。
Vフック
引張コイルばねのフックの一種で、V字形のフック。
フック隙間
引張コイルばねのフックの開いている部分の寸法。
不等ピッチ
圧縮コイルばねのばね特性を非線形とするためなどの、ばねの均一でないピッチ。
不等ピッチコイルばね
ピッチが均一でない圧縮コイルばね。
ブルーイング
ばねの外観および耐食性を改善するために,加熱によって表面に黄色又は青色の酸化膜を生じさせる熱処理。低温焼なましと同じ目的の処理をいうこともある。
弁ばね
内燃機関の吸排気弁などに用いるコイルばね。
ホースクランプ
板状又は線状の材料を用いて環状に成形し、材料の
弾性を利用してホース差込み接続部を締め付けるばね。
ま行
巻方向
コイルばねのコイルの巻かれた方向。
曲げ応力
物体に形状変化をもたらす曲げ方向の応力。
丸フック
引張コイルばねのフックの一種で、丸形のフック。
右巻
右ねじと同じようなコイルばねの、コイルの巻方向。
密着長さ
圧縮コイルばねの互いに隣り合うコイルが密着したときの長さ。 ※ 密着高さともいう。
密着巻
コイルばねにおいて,互いに隣り合うコイルが密着した状態に成形する加工。
や行
有効たわみ
ばね特性を計算する基礎になるたわみ。
有効巻数
コイルばねのばね定数の計算に用いる巻数。 ※ 圧縮コイルばねの場合は、総巻数から座巻を引いた巻数となることが多い。
Uフック
引張コイルばねのフックの一種で、U字形のフック。
横弾性係数
弾性限度内におけるせん断応力とせん断ひずみとの比。
ら行
冷間成形ばね
ばねの成形方法による名称で、冷間で成形するばね。